揖斐川の国土交通省管轄新旧2ダム見学記(2009/07/29)

岐阜県西部の揖斐川には国土交通省管轄の治水ダムが2つ連続してあります。ひとつは日本一の貯水量を誇る有名な徳山ダムで完成は平成18年という新しいダムです。そしてもうひとつはその下流にある横山ダムでこちらは昭和39年完成という比較的古いダムです。これら2つのダム内部の見学に行ってきました。

きっかけは私が6月にトラブルで休日出勤したのですが、その代休の取得期限が7月中までだったこと、しかし今年は7月終わりになってもなかなか梅雨が明けないことから、車でまわれるダム見物をすることにしました。そのため行先をいろいろとネット検索すると、ちょうどこの時期は「森と湖の旬間」ということで、各地のダムでイベントが開催されていました。このなかで、行った事がなくて、日帰りできて、ダムカードがもらえて、ダム提内が見学できるところ、ということで徳山ダムに行くことにしました。実は徳山ダムは日本最大のダムですから、前々からずっと行きたいと思っていたのです。ついでに下流の西平ダム、久瀬ダム、ダムカードのもらえる横山ダム、そしてちょっと頑張って福井に行けば真名川ダムにもいけると思いました。

 

「徳山ダム編」

徳山ダムの管理所に電話で聞くと見学は10時から受付ということで、朝は7時に家を出て、東名高速で大垣まで行き、大垣から国道をつないで北上します。天気は雨で途中の高速ではときどき激しく降ってましたが、現地に行くにつれだんだんと小降りになってきます。実は高速で2時間弱、大垣から1時間以内と思っていたのですが、前に遅いトラックがいたりで、到着は10時半になってしまいました。 

 

すると見学は30分おきにあって、僕らが今日は最初だとのことです。これなら他のダムをゆっくり見てから来ればよかったです。そして10時半の見学会ということで案内の方と一緒にすぐにバスに乗りました。バスは管理所からゆっくりと天端をわたって行きます。雨で曇ったダム湖の先の橋の説明がありましたが、あまりよく見えません。

天端を渡り終るとバスを降りてエレベーターで普段は入れないダムの下部に入ります。ここのダムは普段は見学をやってないので、これは貴重な体験です。

エレベーターを降りるとひんやりとした空気です。ここから地下の通路がつながっています。

通路を歩いていった先にあるのはバルブ室です。

徳山ダムは治水が目的ですが、選択取水塔がありそこから2系統のトンネルで下流に水を流しています。ここはその流量の調節をするバルブのあるところです。バルブは3つあり、左2つが主トンネル2本の制御用、もうひとつはバイパスさせた副トンネルの制御用です。この排水はいずれ発電施設が作られる予定で、そこで発電につかわれるそうです。

 

これが導水管です。ここは制御パネルの裏になります。制御パネルだけは何故か撮影禁止でした。バルブ室を見た後はまた通路を戻ります。

 

来た通路の途中から分岐したほうに入ります。

 

そこに現れたのは急勾配で一段がやたら高い階段が上にも下にも延々と続く階段です。ここには圧力計が途中途中に設定されており、係員が毎日チェックでまわるそうです。案内してくれた方もやるそうで、1日がかりでかなりハードだそうです。

全体図で、ここにいます。

通路を戻ってエレベータで上に上がります。上はまた蒸し暑い世界です。降りた横のドアの先から、さきほどの階段を上からみることができます。これを降りるだけでも足がパンパンになりそうです。

外に出てまたバスに乗り管理所のほうに戻ります。雨がすっかりあがって橋が綺麗に見えるようになりました。次は洪水吐きのほうなのでゲート見学かな、と思っていたらこれで終わりだそうです。ちょっとがっかりしましたが、面白い体験でした し、最後にダムカードをいただきました。

 

その後、ゆっくりと日本一の貯水量を誇る徳山ダムをみてまわります。いまさらながら徳山ダムはロックフィル形式で、提体積も日本一です。やはり雄大という言葉がぴったりするのではないでしょうか。また新しいのでどこも綺麗です。管理所内の写真パネルを見たり、天端の上を歩いたり、ゲートを外から見たりして堪能しました。

 

「横山ダム編」

徳山ダムでもらった横山ダムのイベント案内のパンフレットを見るとダム見学がありました。しかも今日やっている!ということで電話すると12時まで受付だそうです。しかし今は11時40分、あわててこれから向かう旨を伝えて車で来た道を戻ります。横山ダムに到着したのは11時58分でした。
すぐに申し込みをするとパンフとウチワとダムカードを貰いました。パンフの一部とウチワはちょうどダムマニアの方々が森と湖の旬間期間中にイベント用に製作したものでした。そしてなんとヘルメットを着用・昨年のGSAを思い出してしまいます。

先ずは操作室です。基本的には長島ダムで見学したのと同じで流域のデータ、他のダムとのリンク、貯水量と放流量の計算をダムコンで実施します。横山ダムはそれまで1基で治水と灌漑をしていたのを、上流の徳山ダムの完成で治水に専念でき、雨量の多いときに貯水量を減らすことができるようになったそうです。

 

あわてて入ったので通路からようやくダムの全景を見ることができました。表面のコケが年代を感じさせます。そういえば同じ時代で同じコンクリート中空ダムの井川ダムも同じようにコケだらけでした。

管理所を通って天端に出て、天端を歩いて行きます。ダム湖で工事中のものがあったので尋ねると、選択取水塔と橋を作っているそうです。

 

ダム直下にあるのは中部電力の発電所です。ここは完全に無人で稼動しているそうです。そういえば国土交通省管轄ダムなのに徳山も横山も商業発電もやってるんですね。

 

天端中央からエレベータで提体内に入ります。わくわくする瞬間です。

 

まずはオリフィスゲートの見学です。このゲートは重さ30トンもあるそうです。これを上部の油圧で開閉するわけです。
 

 

中空コンクリートダムに入るのは初めてです。内部は三角形のすごく天井の高い部屋という感じです。 そしていくつかに仕切られていて、その間はこのような通路になっています。

 

またエレベータに乗り最下部まで下がります。ここは湿気と言うか水蒸気がいっぱいでカメラでフラッシュを使うと白くなって何も映りません。これは発電に使う水の水路トンネルです。

通路を進むと扉があって中に入るとなんと多目的ホールになっていました。このような空間が出来るって、中空式だからこそですね。

中ではハンドベルがありました。コンクリートの天井の高い密閉空間なので、音はかなり響きます。

ホールを出て、違うところの最下部から上をみたところです。中空式はダムの形を内部から感じることができます。上の橋はさきほどオリフィスゲートを見学したときに通ったところです。

ちょっと写真が見にくいですが、ダムの底です。染み出た水が流れています。
このあとはエレベータで天端に戻って、そこから管理所に戻ってヘルメットを返却して終了です。

 

どちらのダムも係員の方が丁寧に見せてくれて、本当に感謝です。徳山ダムはできたばかりで壮大で美しく、横山ダムはコンクリート使用量の節約というその時代を感じさせるダムでした。そして横山ダムが一人で担っていた治水、灌漑を新しい徳山ダムと連携して揖斐川下流域を守っているのを同時に見れたのでとてもわかりやすかったです。

やっぱりダムってすごいです。

 

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