マラッカ訪問記(2007/07/22)

<はじめに>
マレーシアの首都のクアラルンプール(KL)から南西に200kmほど行った海沿いにマラッカという都市があります。ここは地理的にマラッカ海峡の要所になるので、マレーシアを侵略した国々の歴史的な史跡が残っていて、他の都市とはちょっと違う雰囲気があるそうです。前々から常々気になっていたのですが、遂に訪問ができたのでその記録です。

<行程の決定>
マラッカには電車や飛行機の直接的なアクセスはできません。そこでネットで色々と調べた所、タクシーか長距離バスを使うことになります。マレーシアは都市間の交通は長距離バスが発達していて、とても安価です。またタクシーはドアtoドアで日本に比べれば安いのですが、バスなら1/10以下の価格です。そこで価格も魅力ですが、地元の人たちと一緒に長距離バスを経験したかったので、今回は長距離バスを使ってみることにしました。
さて日本への帰りの飛行機はクアラルンプール国際空港(KLIA)から飛びます。実はこのKLIAはKL市内とマラッカの中間地点になるので距離的にはKLIAから行くか帰るかにすれば無駄が少ないのですが、直接アクセスはタクシーしかありません。そこで今回は比較的情報があって、楽と思えるKL市内から日帰りで行くことにしました。

<前日の準備>
KL市内に前日の夕方に到着しました。今回の宿はチャイナタウンの中にあるスイスインというホテルであまり高級でないところです。ですので部屋も設備もいいことはないのですが、なんと言ってもここのメリットは目の前がチャイナタウンのメインストリートであるぺタリン通りで、買い物や食事を楽しめることと、そして今回の目的である長距離バスのバスステーションであるプドラヤバスステーションに近いことです。



宿にチェックインすると早速、プドラヤバスステーションに行って翌日のチケットを購入します。ネットで調べてあったのですがKLとマラッカの路線のあるバス会社はたくさんあって、お勧めはトランスナショナル社とKKKL社で、休日は混むので事前予約がいいとのことでした。そこでプドラヤの中に特別なチケットカウンターや案内所まである一番大手のトランスナショナル社のカウンターに行って翌朝9時のマラッカ行きのチケットを9.5RMで購入しました。

これで座席まで指定なので安心できます。また翌日夕方の戻りのチケットを購入しようとしたら、夜の9時の便しか空いてないとのことでした。これではちょっと遅いので帰りは違う会社にしようと、次はKKKL社のカウンターに行きました。KKKL社のカウンターはわかりにくいところにあって、探しましたがその間に客引きが次々と声をかけてきますが、全部無視!やっとKKKL社のカウンターに行くとKLに戻る便のチケットは現地でないと買えないとのことでした。まー会社もたくさんあるし、じゃ向こうに着いたときに買えばいいか〜と帰りのチケットは買わずにホテルに戻りました。

<バスに乗る>
ホテルで朝食を済ませて8時半前に出て、プドラヤバスステーションに行きます。トランスナショナル社はしっかりした案内所があって、9時のマラッカ行きなら16番プラットホームとかが表示されています。しかしここはマレーシア、表示だけでは安心できないのでそこにいる係員に念のため聞くとそこで合っていて、8時45分から乗車とのことでした。プラットホームはチケットカウンターや案内所のあるところから階段を降りたところにあります。実際の乗車は50分ころから始まりました。
バスの座席は広く足もけっこう楽に伸ばせます。座席もまぁまぁで2〜3時間なら十分すぎる内容です。ただ事前にわかっていたのですが、クーラーがきつく送風口を閉じてもかなり冷えています。私は持参した靴下とウィンドブレーカーを着こみましたが、周りの人はそのままの格好です(みんな寒くないのかなぁ?)。ラッキーなことに私の席は前から2番目で隣は空席でした。おかげでゆったりとできます。



ほぼ定刻にバスは出発します(これってマレーシアでは画期的なことだと思います)。外に出ると、バスの窓に貼られたスモークフィルムの糊がまだらであまり視界は良くないですが、パラパラと雨が降ってきました。KL市内を抜けて高速道路に入るとあとは単調な椰子畑の風景が続きます。うつらうつらしながらバスの旅です。1時間半くらいで高速を降り、マラッカの市内に向かいます。北部の動物園のあたりを抜けて、大型スーパー(ジャスコ)の前で一人の乗客を降ろしました。そしてまたしばらく走るとマラッカセントラルという長距離バスステーションに到着です。マラッカセントラルはとても大きな建物で外周をぐるっとまわって降車場所につきます。



<帰りのチケット>
先ずは帰りのチケットの購入です。マラッカセントラルは広くて、初めての人は自分の位置がわからなくなると思います。お目当てのKKKL社のカウンターに行くと、今日の帰りの便はもう完売だと言います。しまった〜と思いつつ、しかたないので9時でいいからトランスナショナル社のカウンターに行くとこれまた完売。。外のバスを見て小奇麗そうだったのでメラー社に行くと空いてるのは12時半しかないとのことです。それって1時間後じゃ、何をしにきたのかわからない!!ここで真剣にあせりました。呼び込みとかをやってる会社はあまり使いたくないし、タクシーはボられそうだし、KLとの中間の都市であるスレンパン経由も考えたのですが、とりあえず他の会社で直行バスを探してみることにしました。するとメトロバス社のカウンターが目に付きました。メトロバスはたしかKL市内とかを走っていたはず・・ここなら大丈夫かと思ったのですが、変な赤い服を着た金髪のケバいおばさんが客引きをしているので、なんか嫌でした。しかし背に腹は変えられないので、カウンターで聞くと夜8時の便が空いてるとのことでした。値段は10RMとのことでしたが、もらったチケットには9.4RMと書いてありますし、トランスナショナル社と違って手書きが多くてちょっと不安です。

<マラッカセントラルから市内へ>
マラッカセントラルは名前と違って全く市内の中心にありません。昔は長距離バスステーションは市内のほうにあったらしいのですが、今は郊外に新しく作ったようです。そこでいわゆる観光の中心地(地元では時計台(クロックタワー)で通じます)に行くにはまたバスかタクシーになります。タクシーは15RM程度とのことで、KL→マラッカより高いのも癪なので、市バスに挑戦してみます。まず人に聞くと17番のバスだと言います。ところがマラッカセントラルのローカルバスのターミナルに17番は見当たらず、またうろうろと探します。どうにもわからないので売店のにーちゃんに聞くと、場所とバスのカラーリングまでを丁寧に教えてくれました。すると17番というのはバスの番号でターミナルの番号ではなかったのです。バスをようやく見つけて乗り込みます。

今度はクーラーも無く、座席も粗末で本当に地元のアシというバスです。発車してすぐに車掌がまわってきて80¢を払います。安いなぁ〜30円未満です。

バスが発車すると雨が強く降り出しました。バスは市内の細い道をくねくねと進むと・・あれ?なんか見たような景色が???なんとマラッカの観光のシンボル的なスタイダスとクライストチャーチのすぐ横を通ります。そして海の博物館、海軍博物館の横を通って大きなショッピングセンターで止まり、ここで降りました。他の人もほとんどがここで降りました。

<雨の独立記念館とサンチャゴ砦、セントポール寺院>
雨はけっこう強く降ってますが、雲のかんじからそんなに長くは続かないと思いました。そこで目の前のショッピングセンターに入りました。ショッピングセンターは通りをはさんで両側にあったのですが、雨が上がったらすぐに出かけられるようにセントポール丘に近い山側のほうに行きました。ショッピングセンターをだらだらまわったのですが、お店がイポーやKLの大型ショッピングセンターとかなりかぶっていて、どこも同じような感じです。しばらくして外を見ると雨がやや小降りになっていたので、折り畳み傘を広げて外に出ました。
セントポール丘の一体は博物館だらけで、博物館前の飛行艇や列車にあたりに小学生がいっぱいいます。ここは子供達の定番の遠足コースのようです。まずは一番奥にある独立記念博物館に行きました。入場は無料で外に装甲車が展示されていたりでちょっと自分好みです。

展示はたいしたことはなく、さらっと見てまわります。外に出ると雨はさらに小降りで傘は必要なさそうでしたので、目の前にあるサンチャゴ砦を見ます。これは崩れかけた石の門みたいな感じですが、歴史を感じさせます。ここでカップルが写真を撮ろうとしていたのでシャッターを押してあげましょうかと声をかけると、自分の写真も撮ってくれました。

砦の後ろから階段があってセントポール丘に上げって行きます。ここでもさっきのカップルがいたのでお互いに写真を撮ってもらいました。彼らはフィリピンから来たそうです。階段は雨で滑りやすくて、ちょっとひやひやしましたが、丘のうえにつくと遠くにマラッカ海峡を往来する船が見えます。

丘の上はセントポール寺院で、たぶん日本で一番有名なポルトガル人だと思うフランシスコザビエル(教科書の絵にいたずら書きしたなぁ)もここにしばらくいたそうです。寺院は屋根が落ちているものの、重厚な造りでなにげに置いてある歴史的な石のプレートにも触れるし、面白かったです。



<スタイダスから時計塔とクライストチャーチ>
セントポール寺院からオランダ広場、つまりマラッカの象徴的なスタイダスやクライストチャーチのあるほうに降りようとすると、そこは博物館になっていて通り抜けできません(後で知ったのですが、道はあるようです)。そこで来た道を戻って途中から丘の中腹を回り込む道でオランダ広場に向かいます。途中に西洋式の墓地があって、ランプータンの実が実っていて、なんか不思議な感覚がします。
坂道を降りると、スタイダスとクライストチャーチの間の道を奥に入ったところに出て、やっとスタイダスにでました。



 

 

時計塔のちかくで写真を撮って、感慨深く風景を眺めました。やっとマラッカに来たと言う感じがします。赤茶色の壁はこれまでマレーシアで見た風景にはないもので、異国情緒たっぷりです(ってマレーシアも異国なんですけどね)。

<チャイナタウン>
とりあえず見たいものは見たので、お昼を食べることにします。マラッカといえばニョニャ料理というマレー風中華料理が有名です。そこでレストランの多いチャイナタウンに向かいます。チャイナタウンには時計塔の目の前の橋を渡ればいいだけなのですが、間違えて北のほうに行ってしまいました。すると大きな綺麗な教会が現れました。これはフランシスコザビエル教会で、実際は死後に彼を称えて作られたそうです。

その先の橋を渡ってチャイナタウンに裏から入っていきます。まず食事なのでメイン通りに向かいます。雨がまた降ってきたのですが、マレーシアは繁華街ならショップハウスと言って1階が庇になった店がずっと続いて、アーケードのように雨や日差しを防げるようになってます。そこで傘をささずに我慢してましたが、マラッカのチャイナタウンはこの庇が連続してないのです。ですのでときどき濡れながら店を見てまわります。

チャイナタウン入口には有名なニョニャレストランがあるのですが、観光客に大人気で外まで行列ができてます。ですので他の店を探すことにしました。
お店がなくなるところまで歩いたのですが、良さそうなレストランはあまりありません。そこで通りを変えてみたのですがあまりいいところがありません。途中でモスクがあって、ちょうどアザーン(イスラムの礼拝の呼びかけ放送)があって、チャイナタウンとは言っても多民族多宗教国家のマレーシアらしさを感じます。雨がさらにひどくなったので、さっき一度前を通ったライスボールのお店に入りました。このレストランはFAMOSという名前で、米で作ったダンゴとチキンとかのセットが有名だそうです。店内にはいろいろな有名人がお店に来た写真があって、中に台湾のアイドル歌手のジョリーン(蔡依林)まであったのにはびっくりしました。ライスボールはバサバサでいまいちでしたが、チキンやスープはおいしかったです。ライムジュースとあわせて7RMほどでした。

<博物館めぐり>
食べ終わると雨があがってきたので、今度はまたセントポール丘のふもとの博物館に行くことにしました。特に行きたかったのは市バスから見えた海軍博物館で、軍事ヲタクの血が騒ぎます。だって、軍艦や機銃や砲塔が外に展示されているんですよ〜!またその向かいにある古い帆船の形の海洋博物館も面白そうです。そこでまたスタイダスの前を通って、ロータリーを西に向かいます。ロータリー横には警察署があって、パトロール用なのか馬がいます。またパトカーや白バイがあって、特に白バイはカウル付きの新型(機種不明)があって写真を撮っていたら警官がでてきたので逃げました(汗)。

海洋博物館は残念ながら工事中で閉鎖されてます。また海軍博物館は入口がわからず、通り過ぎてしまいました。しかたないのでまた最初に市バスを降りたあたりからセントポール丘の下の他の博物館にいくことにしました。

最初はサンチャゴ砦の手前にあったイスラム博物館です。入場料1RMでしたが、内容はショボくて泣けました。しかも1Fは訳のわからない絵を売ってるだけで、2,3Fは階ごとに靴を脱がなくてはいけないし、内容もパネルと模型ばかりでがっくりです。
外に出てからこれでは無駄な時間になるので、他の博物館はスキップしてスタイダスに行くことにしました。

スタイダスは入口がお土産物を売ってる露店の階段を上がった先に博物館の入口があって、先ほど通ったときには博物館には気がつきませんでした。入場料は5RMですが、中に入るとセントポール丘の上のほうまで複数の博物館にも入れるようになっていて、かなり見ごたえがあります。



 



 

また展示物もいろいろとあって、かなり楽しめます。いちおうひととりは見たのですが、マラッカだけでなくマレーシア全体の侵略(された)の歴史、それぞれの国の統治時代のことや関連した展示物が見れます。ちなみに最後の侵略者は1942年。。つまり旧日本軍です。あまり酷いことは書いていないようでしたが・・・・ま、ちょっと複雑な気持ちです。気のせいかそのコーナーでは他のお客が僕をチラチラ見てるような気がしました。

<またいったりきたり>
かなり長い時間をかけてスタイダスを見て、またクライストチャーチ(なんかNZの地名ですねー?)で写真を撮って、それでもまだまだ時間はあります。ガイドブックを見るとチャイナタウンの先にカンポン・フル・モスクというマレーシア最古のモスクがあるそうです。モスクマニア(?)の僕は今度はそのモスクを目指してみました。歩いていくと観光エリアからだんだんと地元の生活エリアになっていきます。

地元の人向けスーパーとかの前に目的のモスクはありました。たしかにこれま見てきたモスクとかとは屋根とかに違いを感じます。

その先にもちょっと行ったのですが大きな道路に出て、その先はわからないのでコンビニで飲料を買って戻ります。帰り道はチャイナタウンの違う道を通ってみました。すると怪しげなバックパッカー向けの宿とか中国寺院、ヒンズー寺院、さきほどアザーンの聞こえたモスクとかが同じ通りにあって、これもマレーシアらしさで面白いです。

ここの歩道を歩いていると、服が植物にひっかかって鉢植えの大きな観葉植物を倒してしまいました。これがトゲだらけの植物で、もともと狭い歩道を塞いでしまったので起こそうとしたのですが、かなり重いし、棘だらけで隊変でした。こんなもの表に置くなよなぁ〜(怒)。おかげで手のあちこちをひっかいて、あとからこれがちょっと腫れて痛かったです。
さて、ま〜たスタイダスに戻ってしまいました。することもないので、ショッピングセンターで時間をつぶすことにしました。また警察署脇のロータリーを通ると、PWDT博物館というのがあります。ちょうど海軍博物館の裏なので入って中の人に聞くとやはり海軍博物館でした。これじゃ、わかんねーよ。。。しかしやっと念願の博物館に入れたわけです。館内には中央に本物の艦上ヘリコプターが展示され、そのまわりを2階分の展示物があります。マレーシア海軍はあまり大きな艦船は持っていないようでした。また船には州の名前が多いようでした。館内にも武器の展示があったのですが、やはり面白いのは館外の展示で、砲塔はカットモデルで中がわかるようになっているし、20mm機関砲も触りたいほうだい、速射砲も飾ってあって、直に触れます。そして圧巻が軍艦が展示されていて、甲板や船室に入れるようになっていることです。



 

僕は今回の写真の半分以上をこの博物館で撮ってました。

<帰路>
その後、ショッピングセンターをブラブラしてから、タクシーでマラッカセントラルのバスステーションに向かいました。値段は15RMでした。市バスはいつくるのかわからないし、そのバスで本当に合っているかわからないこと、絶対に遅れることができないことから帰りはやめておきました。ちょっと早めに向かったので、マラッカセントラルの中でお店を見てまわりました。お腹も空いたのですが、もしバスの中で不測の事態(まーとかですね)になると困るので、我慢しました。
時間になったのでターミナルに行くと、かなりの人が待っています。チケットに手書きで書かれた番号欄がシート番号なのかマレー語でしか書いてないので近くの中国人に聞くと、やはりシート番号でした。10分くらい前に乗車がはじまり、席に着きます。メトロのバスはそう悪くはないのですが、クーラーの送風口を閉めても窓上から冷気がおりてくるのにはまいりました。今回は隣にも人がいるので、往路ほどはリラックスできません。そとはまた強く雨が降り出しました。ラッキー。
定刻の5分遅れでバスは出発しました。しかし往路と道が違います。1時間近くたっても高速道路に入りません。えー?高速使わないの?!と思っていたら、高速に入りました。夜で雨なので風景はほとんどわかりません。往路より1時間くらいよけいにかかって11時ごろにKLに無事到着です。

まー、疲れましたが、ちょっとこれまでのマレーシアと違うかんじで楽しかったです。費用は以下の通りです。
KL→マラッカ(トランスインターナショナル社バス)   9.40 RM
マラッカセントラル→マラッカ市内(タウンバス)     0.80 RM
食事(FAMOS:チキンライスボール+ジュース)    6.95 RM
イスラム博物館                      1.00 RM
スタイダス博物館                     5.00 RM
海軍博物館                          3.00 RM
マラッカ市内→マラッカセントラル(タクシー)     15.00 RM
マラッカ→KL(メトロ社バス)                10.00 RM

 

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